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【ゆる読書】チャールズ・エリス「敗者のゲーム〈原著第6版〉」

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本書は2015年1月に刷られたものですが、図書館で借りたときには傷や汚れでぼろぼろでした。

それだけ多くの投資家たちの手に渡ってきたのかと思うとなんとなく熱いものがこみ上げてきたり、こなかったり。

というわけで今回はチャールズ・エリス「敗者のゲーム〈原著第6版〉」を読みました。 

 

 

 

 

 

 敗者のゲームとは敗者がゲームを支配すること

 

 プロのテニスは勝つために行ったプレーで結果が決まる「勝者のゲーム」であることに対し、アマチュアのテニスは敗者がミスを重ねることによって決まる「敗者のゲーム」なのである。

つまり、いかにミスを少なくするかにかかっている。

 

著者が最も言いたいことはこれであり、どうすればミスを少なくてきるのかということが本書に書かれています。

 

 

インデックス・ファンドは投資のドリームチーム

 

投資のトププロの投資判断をひとつにまとめてしまうには、インデックスを使えばよい。インデックス・ファンドは市場をそっくしそのまま再現する。

実際、マーケットがプロによって支配されているようになった今、市場の動きはまさしくプロの動きの総和を示す。

新しい情報が発生し、プロが判断を変えるたびに市場も動く。

 

インデックスファンドが市場を再現するということは、そこにあまたのプロが参戦し市場を支配しているので、それを使いさえすれば自分にとって「ドリームチーム」のスタッフを抱えているのと同じメリットが得られる、と言っています。

これはなるほど、という感じです。

市場には養分にされる個人投資家も多分に含まれていますが、プロの扱う額に比べればたいしたことはないでしょうから、それらを踏まえると長期のインデックス投資ならおそらく平均点以上は取れるであろうということが推測されます。

しかもインデックスファンドは手数料が安いですからね。

プロではない個人投資家の最適解は、やはりインデックス投資ということになります。

 

インフレーションという敵

インデックス投資で投資信託などをやる場合、元本が保証されない商品に投資をしていくことになります。

利益を享受できる一方で、元本を保証されていないので損をすることがあります。

誰でも一生懸命稼いだお金が減るのは嫌ですよね。

だから定期預金にしている人も多くいます。

でも、本当に元本が保証されいる定期預金に預けておけば安心でしょうか?

その答えがここに書かれています。

 

インフレの脅威はほとんどの投資家、特に引退後の老齢層に打撃を与える。じわじわと侵食していくインフレの力こそが本当に恐ろしい。

一般的に許容されている年率2%のインフレが続けば、購買力は36年で半減する。年率3%のインフレが続けば購買力は24年以内に半減する。

次の24年間でさらにその半分になる。現在の平均寿命は85歳だから、これは明らかに重大問題である。

特に引退して、インフレによる購買力の現象を埋め合わせるためだけの収入がない場合には、なおさらである。

 

例えば郵便局の金利を確認してみてください。

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金利一覧-ゆうちょ銀行

 

定期預金金利がわずか0.01%です。

100万円を1年間預けたら、100円を受け取れます。

ここから所得税が引かれますので、手元にのこるのは約80円弱になります。

一方でモノの値段はどんどん上がっていきます。

こちらはここ10年のインフレ率です。


source: tradingeconomics.com

 

この超低金利時代、最も恐ろしいのはインフレです。

何もしなくてもお金の価値が少なくなっていきます。

これまで缶コーヒーは100円で買えていたのに、103円出さないと買えなくなる。

 缶コーヒーの価値は変わらないのに、お金の価値が下がったために3円余計にださないと買えないのです。

100円から103円になった場合、3%の値上げです。

100円を定期預金に預けたらいくらになりますか?

そう、1円にすらならないのです。

金利0.01%の定期預金では、インフレ率の3%すら稼げないということになります。

定期預金だけの場合、年3%以上の利益を上げて、初めて元本が減らないと言えます。

 

成功する運用基本方針の策定

 

1.自分自身の長期運用目的の認識と、その達成のために望ましい資産配分比率の策定…株式、債券などへの配分


2.株式ポートフォリオ構成の決定…成長株VS割安株、国内株VS海外株など。


3.アクティブVSパッシブ比率の決定…多くの投資家にとっては、長期的にはパッシブがお勧め。


4.個別ファンドの選択…残念なことに、ほとんどの投資家はこの点にほとんどの時間を費やす。


5.アクティブな運用…個別銘柄の選択・売買実行。

 

この基本方針については耳が痛い。

何事においてもそうですが、目的のために手段があるのであって、手段に振り回されて目標を忘れてはいけない。

わかってはいてもついつい個別のファンド選定に時間をかけてしまう。

なぜならファンドはとてもたくさんあり、どれも興味深く、儲かることをあれこれ夢想するのが楽しいから。

しかし今一度原点に戻りたい。

なぜ、あなたは投資をするのか。

 

自分の場合は金を稼ぎたいからです。

いや、金を稼ぐのは手段ですね。

自分は自由になりたい。

好きな場所で暮らしたい、好きな仕事をしたい、好きな時に好きなように時間を使いたい。*1

人は生きたいように生きられるし、好きなように生きていい。

その手段のための金を手に入れたい。

 

最小コストで最大効果を生み出すのは、第一段階である。

第4、第5段階の個別ファンドや個別銘柄選択は、最もコストがかかる割りに効果はほとんどない。

ここに「敗者のゲーム」の究極的な意味での皮肉な結果がある。

私たちはえてして第5段階の個別銘柄選択で勝とうと夢中になる。にもかかわらず、このゲームのコストは最大となり、獲られるものはほとんどないということがある。

それどころか、市場に勝とうと夢中になるあまり、低コストで高いリターンも見込める第1段階の重要なゲームを忘れてしまう。

  

敗者のゲーム〈原著第6版〉

敗者のゲーム〈原著第6版〉

 

 

個人投資家のための10戒

最後に10戒も紹介しておきたい。

こちらも胸に突き刺さるものばかりです。

 

1.貯蓄すること。そして貯蓄したものを、将来の幸せと安定、子供の教育のために投資すること。

 

2.相場の先行きに賭けてはいけない。もしあなたが衝動に駆られ、どうしても相場を見ながら売買するというなら、あなたはプロを相手にしていることを自覚すべきだ。

 

3.税務上有利という理由で動いてはいけない。そうした商品は投資対象として魅力はない。

 

4.自分の住宅を投資資産と考えてはいけない。住宅は家族と生活する場所であり、それ以上のものではない。多くの人が2008年の住宅価格の暴落で実感したことだろう。住宅は金融的な意味で優良な投資対象とはいえない。しかし、家族の幸福のための投資としては意味がある

 

5.商品取引は考え物である。コモディティ取引は投機に過ぎない。経済的付加価値を生まない以上、投資とはいえない

 

6.証券会社の担当に気をつけなさい。多くの場合、素晴らしい人達である。しかし、彼らの仕事はあなたを儲けさせることではなく、あなたから儲けることなのだ。

 

7.いわゆる新金融商品に投資してはならない。この手の商品のほとんどは、投資家に保有されるためというより、投資家に売るために設計されている。

 

8.元本、利息が安全だとか、リスクが少ないという理由だけで、債権に投資してはいけない。債券価格も株式とほとんど同様に変動するし、さらに債券は、長期運用にとって新のリスクであるインフレに弱い。

 

9.長期の投資目的と投資方針、資産計画を文章にして書き出し、それに沿って行動すること。最低10年に1度、できれば毎年それを見直すこと。

 

10.直感を信じて投資してはいけない。うまくいって有頂天の時には、大ヤケドが待っていると思ったほうが良い。落ち込んだ時には、夜明け前が1番くらいということを思い出そう。そして何もしないことだ。売買は運用のプラスアルファの部分に過ぎない。

 

 

 

 

*1:

自分はいわゆる就職氷河期にぶちあたった世代で、あらゆることをあきらめることでここまで来ました。つきたいと思った仕事にはつけない、そもそも求人がない。でも奨学金はかえさねばならない。働けるならブラックな会社でもかまわない。選択肢などない。金は稼がなくてはならない。自由に生きられるなど到底信じられない。そんな抗えない流れに流されるままにここまでなんとかたどり着いた。でも、その考えはいい加減やめた。自分にとって暗い時代は、平成という年号とともに終わる。